2023年3Q決算(アステラス・日本特殊陶業・日本軽金属HD・バルカー・日本ケアサプライ)

今回は、

  • アステラス製薬
  • 日本特殊陶業
  • 日本軽金属ホールディングス
  • バルカー
  • 日本ケアサプライ

の最新決算情報や配当還元の情報を紹介していきます。

好調な決算に終わった銘柄もありますが、残念ながら不調な決算となった銘柄もあります。

今回の決算情報や今後の展望などを踏まえて、売買のタイミングを探っていきましょう。

目次

アステラス製薬

まずは、アステラス製薬(証券コード4503)の最新決算情報や配当還元情報を解説します。

アステラス製薬の2023年3月度第3Q決算

アステラス製薬の2023年3月度第3Q決算は、下記のように発表されています。

2022年12月期における第3四半期の連結売上収益は1兆1643億円で前期比17.34%増
親会社の所有者に帰属する当期利益は9.32%増の1448億3900万円で着地
売上高営業利益率は前年同期の17.07%から15.57%とほぼ横ばいで推移
通期業績を売上収益1兆5290億円、当期利益1500億円と予想し、第3四半期までの当期利益の進捗率は96.56%
期末の配当を30円と予想し、年間の配当予想は60円

おおむね順調な決算となっています。

従来の見通しでは、連結純利益)が2080億円になる見込みでしたが、約580億円引き下げる結果となりました。

開発中の抗がん剤にかかる費用が膨らむことが大きな要因となっていますが、その他の薬品の売れ行きは順調なので特段気にする必要はないでしょう。

出展:バフェットコード
  • 現在のPER:21.5倍
  • 現在のPBR:2.2倍
  • 現在の配当利回り:3.1%
  • 現在の株価:1,900円近辺

現在の財務データを見ると、割安感は感じられません。

アステラス製薬は自己資本比率が高く安定している魅力がありますが、現在は「買い時ではない」という判断をしています。

アステラス製薬の配当還元方針

アステラス製薬は、企業価値の持続的向上に努めつつ株主還元にも積極的に取り組んでいます。

「事業投資を優先しながら、配当は連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努める」と公表しています。

事業投資を優先させる意向を示していることから、投資がうまくいけば株価の上昇も期待できると言えるでしょう。

また、配当だけでなく「自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率と還元水準の向上」を進めています。

日本特殊陶業

続いて、日本特殊陶業(証券コード5334)の決算情報などを紹介していきます。

日本特殊陶業の2023年3月度第3Q決算

2022年12月期における第3四半期の連結売上収益は4192億1100万円で前期比16.99%増
当期利益は41.22%増の593億7400万円で着地
売上高営業利益率は前年同期の15.28%から19.23%と改善
通期業績を売上収益5858億円、当期利益850億円と予想し、第3四半期までの親会社の所有者に帰属する当期利益の進捗率は69.85%
期末の配当を83円と予想し、年間の配当予想は166円

順調な決算となっています。

主力の点火プラグや半導体製造装置向け部品の販売が堅調で、円安効果もあり利益を押し上げました。

売上高にあたる売上収益は17%増の4192億円。23年3月期の業績予想は据え置いた。

当初は最大650万株、100億円を上限に自社株買いを予定していたものの、「持続的な成長の実現を目的とした他社との連携やM&A(合併・買収)などを検討した結果」取得ゼロに終わりました。

自社株買いがゼロに終わったことは投資家からネガティブに捉えられていますが、決算そのものは順調なので特段気にする必要はないでしょう。

出展:バフェットコード
  • 現在のPER:7.4倍
  • 現在のPBR:1.0倍
  • 現在の配当利回り:6.1%
  • 現在の株価:2,700円近辺

自社株買いを控えたことが嫌気された影響もあってか、割安感を感じられる水準です。

自己資本比率は高く配当利回りも高いため、魅力を感じられる水準と言えるでしょう。

日本特殊陶業の配当還元方針

日本特殊陶業は、株主に対する利益還元を最重要政策と位置付けており、2021年4月以降の事業年度の配当は「完全業績連動」としています。

また、「連結での年間配当性向40%」を配当還元の基準として掲げており、安定して事業で稼げれば高い配当を期待できます。

利益剰余金をはじめとした内部留保は、

  • 事業ポートフォリオの転換
  • 将来の成長に必要な研究開発投資
  • 事業拡大・合理化のための設備投資等

に充てる予定ですが、「達成度合いと比較して適正資本水準を超える」と判断した場合は自己株式取得などの株主還元の実施に充当すること公表しています。

日本軽金属ホールディングス

次に、日本軽金属ホールディングス(証券コード5703)の情報を紹介していきます。

中見出し 日本軽金属ホールディングスの2023年3月度第3Q決算

日本軽金属ホールディングスの2023年3月度第3Q決算は、下記のように発表されています。

2022年12月期における第3四半期の連結売上高は3850億5000万円で前期比6.81%増
経常利益は69.64%減の59億3100万円で着地
売上高営業利益率は前年同期の5.33%から1.32%と悪化
通期業績を売上高5150億円、経常利益90億円と予想しており、第3四半期までの経常利益の進捗率は65.9%
期末の配当を10円と予想し、配当予想は50円

かなり不調な決算に終わりました。

業績の下方修正に加えて、当初予定していた期末配当が45円から10円と、大幅な減配となってしまいました。

不調な決算に終わった理由としては

  • トラック架装事業関連やリチウムイオン電池向けなどの自動車関連の販売減少
  • 半導体製造装置向け厚板の販売減少
  • 購買品の価格高騰によるコスト上昇

また、自動車生産やトラック架装事業の回復に時間がかかり、半導体製造装置向け厚板など半導体関連で需要の調整局面が続く見通しから、下方修正を強いられた形です。

通期連結業績予想の修正や今後の事業環境見通しなどを総合的に勘案した結果、期末配当予想を 45 円から10 円、年間配当予想を前回予想85円から50円に修正されてしまいました。

出展:バフェットコード
  • 現在のPER:12.0倍
  • 現在のPBR:0.4倍
  • 現在の配当利回り:3.5倍
  • 現在の株価:1,400円近辺

不調な決算を受けて株価が下落した影響から、現状は割安感を感じられる水準です。

現状は割安感がありますが、今後も業績の不調が続き株価が下落してしまうと元も子もありません。

今後の世界情勢なに注目して慎重に投資判断を下す必要があるでしょう。

日本軽金属ホールディングスの配当還元方針

日本軽金属ホールディングスの配当還元方針は「財務体質と経営基盤の強化を図りつつ、中長期的な視点から連結業績等を総合的に勘案し、株主の皆さまへの配当を実施する」としています。

連結業績を基準とした株主還元を行っており、「自己株式の取得を含む総還元性向30%」を基準として配当額等を決定する方針です。

内部留保は

  • 成長分野における事業拡大
  • 基盤ビジネス分野における需要創造・収益力拡大に向けた投資
  • 経営基盤の強化
  • 研究開発や人財育成など将来に向けた事業展開

に充てる方針を掲げており、事業投資が成功すれば株価の上昇というキャピタルゲインも期待できます。

とはいえ、今後の懸念材料は多くあるため、様々な経済ニュースを見た上で投資判断を下すことが大切です。

バルカー

続いて、化学品セクターのバルカー(証券コード7995)について見ていきましょう。

バルカーの2023年3月度第3Q決算

2022年9月期における中間の連結売上高は295億7700万円で前期比19.55%増
経常利益は47.85%増の41億6200万円で着地
売上高営業利益率は前年同期の10.9%から13.33%と改善
通期業績を売上高560億円、経常利益67億円と予想し中間までの経常利益の進捗率は62.12%
期末の配当を90円と予想し年間の配当予想は150円

かなり好調な決算となりました。

主力のシール製品事業やプラント市場の販売も堅調に推移し、機能樹脂製品事業機能樹脂製品事業も好調でした。

当初、期末配当は60円の予測でしたが、今回の決算発表を受けて2023年3月期の予想配当を90円に修正しました。

大幅な増配となり、決算発表後に株価は大きく上昇しました。

出展バフェットコード
  • 現在のPER:9.1倍
  • 現在のPBR:1.3倍
  • 現在の配当利回り:4.7倍
  • 現在の株価:3,200円近辺

株価が大きく上昇したものの、4.7%という高い利回りりとなっています。

割安感はありませんが、そこまで割高感も無い状態です。

今後も業績が伸びると判断するのであれば、「買い」という判断もアリでしょう。

バルカーの配当還元方針

バルカーの株主還元方針は「長期的な連結業績を考慮した配当を実施するとともに、資本効率の向上を目的とした自己株式の取得」となっています。

還元の基準は、配当と自己株式取得を合わせた「総株主還元」が当期純利益に対する比率の50%となるように目標と設定しています。

今回の好調な決算と増配の発表を受けて株価は大きく上昇し、積極的な株主還元姿勢は投資家からも高く評価されています。

また、株主還元のほかにも将来の企業価値の最大化に向けた設備投資及び研究開発投資なども積極的に行う姿勢を示していることから、今後の企業価値の増大も期待できるでしょう。

日本ケアサプライ

最後に、介護用品の供給などを行う日本ケアサプライ(証券コード2393)について解説していきます。

日本ケアサプライの2023年3月度第3Q決算

日本ケアサプライの2023年3月度第3Q決算は、下記のように発表されています。

2022年12月期における第3四半期の連結売上高は192億4764万円で前期比11.38%増
経常利益は10.27%減の16億5100万円で着地
売上高営業利益率は前年同期の10.48%から8.46%と悪化
同社は通期業績を売上高255億円、経常利益23億円と予想し、第3四半期までの経常利益の進捗率は71.78%
期末の配当を70円と予想し、年間の配当予想は70円

「まぁまぁ」な決算となっています。

福祉用具サービスは堅調に推移し、高齢者生活支援サービスでは外部委託による物流倉庫を新たに設置して物流コストの削減を行い、収益力の強化を目指しています。

後期高齢者が増加する都市部を中心に既存拠点の移転・拡張を推進し、資本の効率性も高めています。次回の決算などから、事業展開が成功しているかなどをチェックすることが重要と言えるでしょう。

また、日本ケアサプライの年間配当額の前回予想は「1株あたり50円」でしたが、予想配当を「1株あたり60円」と修正しました。

「利益水準、業容拡大に向けた先行投資の状況、2022年4月に予定される株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに対し、流通株式比率に関する上場維持基準を充たすための取り組み等を総合的に勘案」した結果、増配という決定がなされました。

出展:バフェットコード
  • 現在のPER:15.9倍
  • 現在のPBR:1.6倍
  • 現在の配当利回り:4.3%
  • 現在の株価:1,600円近辺

割安感も割高感もない水準となっています。

自己資本比率は70%を超えており安定感があること、配当利回りが高いことを考えると「十分に購入を検討する価値がある」と言えるでしょう。

日本ケアサプライの配当還元方針

日本ケアサプライの株主還元方針は「業績に対応した配当を行うこと、また、業容拡大を図るため設備投資を積極的に行うなど事業基盤を強化する観点から、内部留保を充実させること」を勘案することとなっています。

業績連動型の株主還元を行うことから、将来的に収益力が高いと評価できれば長期的に安定した配当を受け取ることができます。

日本ケアサプライの展開している福祉系のビジネスは、高齢化が進む日本にあって将来性が高いと評価できるでしょう。

まとめ

高配当株投資として人気がある

  • アステラス製薬
  • 日本特殊陶業
  • 日本軽金属ホールディングス
  • バルカー
  • 日本ケアサプライ

の最新決算情報や株主還元方針などを紹介してきました。

バルカーのように好調な決算を受けて株価が大きく上昇した銘柄、日本軽金属ホールディングスのように不調な決算に終わり株価が下落してしまった銘柄もあります。

不安定な為替相場やウクライナ情勢など、リスク要因は多くあるため、事業内容と今後の見通しを勘案して投資判断を下していきましょう。

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