今回は、五大商社である
- 三菱商事
- 三井物産
- 住友商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
上記5社の2023年3月度3Q決算や財務データなどを解説していきます。
2022年は資源高や円安の影響などもあり、商社株は軒並み好調な決算となりました。
上記商社は配当利回りが高い魅力があるため、それぞれ確認していきましょう。
三菱商事
まずは、三菱商事(証券コード8058)の2023年3月度3Q決算や配当還元方針について解説していきます。
三菱商事の2023年3月度3Q決算
三菱商事の2023年3月度3Q決算は、下記のように発表されています。
今期最終利益が上方修正され、好調な決算となりました。
原料炭の価格の高止まりや液化天然ガスの収益拡大が企業収益に寄与し、収益を大きく押し上げる形となりました。
- 現在のPER:6.1倍
- 現在のPBR:0.8倍
- 現在の配当利回り3.9%
- 現在の株価:4.600円近辺
2020~2021年にかけては配当利回りが4~5%台で推移していたため、現在はそこまでうまみを感じられない状況と言えます。
資源高や慢性的な円安など、ポジティブな要因が多くあることから「新規買付や買い増しを行うタイミングではない」と評価しています。
三菱商事の配当還元方針
2022年度より開始された『中期経営戦略2024』において、三菱商事は「累進配当」の方針を掲げています。
減配せずに株主還元を行うことから、配当金が計算しやすい点が大きな魅力と言えるでしょう。
また、ここ数年三菱商事をはじめとする商社株は好調が続いており、7年連続の増配となりました。
景気敏感株とはいえ、累進配当政策を導入していることから、長期的にも安心して保有できる銘柄です。
三井物産
続いて、三井物産(証券コード8031)について解説していきます。
三井物産の2023年3月度3Q決算
三井物産の2023年3月度3Q決算は、下記のように発表されています。
三井物産の連結純利益は、初めて1兆円を超える見通しと発表されました。
三菱商事と同様に、原料炭の価格の高止まりや液化天然ガスの収益拡大等の影響もあり、かなり好調な決算となっています。
- 現在のPER:6.3%
- 現在のPBR:1.0倍
- 現在の配当利回り:3.4%
- 現在の株価:4,000円近辺
三井物産は資源関連に強みがあり、資源高の影響で大きく株価が上昇しています。
コロナ以前は配当利回りが5%を超えていたため、現在の配当利回りは「やや物足りない状況」と評価しています。
三井物産の配当還元方針
三井物産は株主還元も積極的に行っています。
2023年3月期年間配当予想は、直近の配当予想から10円増配となり、今期累計は2,400億円の自己株式の取得となる見込みです。
配当でも自社株買いでも株主還元を行っているため、投資家からもポジティブに捉えられています。
住友商事
次は、住友商事(証券コード8053)の情報を解説していきます。
住友商事の2023年3月度3Q決算
住友商事の2023年3月度3Q決算は、下記のように発表されています。
増収増益の好決算となりました。
資源価格が上昇したことでトレードビジネスが好調に推移し、非資源分野でも北米での鋼管事業などが堅調に推移したことが大きな要因となっています。
また、決算発表と合わせて3300万の自社株買いを発表したことも好意的に捉えられています。
なお、現在の住友商事の財務データは下記の通りです。
- 現在のPER:5.5倍
- 現在のPBR:0.8倍
- 現在の配当利回り:4.9倍
- 現在の株価:2,300円近辺
財務データや配当利回り的には、かなりうまみを感じられる状況です。
配当利回りは5%近くあるため、かなり高利回りな銘柄と言えるでしょう。
株価は上昇局面にありますが、「頃合いを見て購入を検討する価値あり」と評価しています。
住友商事の配当還元方針
住友商事では、「長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針」として、2022年度以降の株主還元方針について
- 2020年度の年間配当金と同額の1株当たり70円以上を維持
- DOE(株主資本配当率)3.5%~4.5%の範囲内で連結配当性向30%を目安
- 基礎的な収益力やキャッシュ・フローの状況等を勘案
また、DOEレンジ上限を超過する当期利益に対しても更なる株主還元を行う方針を掲げており、積極的な株主還元を行っていることがわかります。
伊藤忠商事
続いて、伊藤忠商事(証券コード8001)について見ていきましょう。
伊藤忠商事の2023年3月度3Q決算
伊藤忠商事の2023年3月度3Q決算は、下記のように発表されています。
最終減益という決算になりましたが、概ね好調と言えるでしょう。
しかし、伊藤忠商事の鉢村剛副社長執行役員CFOは「先行きの見通しで不確実性が大きい」とコメントしています。
アメリカや中国の景気、為替などを踏まえて警戒感を示しており、今後の世界情勢のニュースには要注目です。
- 現在のPER:7.8%
- 現在のPBR:1.3倍
- 現在の配当利回り3.4%
- 現在の株価:4,100円近辺
財務データからは、割安感も割高感も感じられない水準となっています。
過去の配当利回りも3%台で推移していることから、「今は様子を見て下落局面があれば購入を検討する」というポジションが無難と評価しています。
伊藤忠商事の配当還元方針
伊藤忠商事は、2021~2023年度の中期経営計画 において、下記のような株主還元方針を示しています。
- 1株当たり配当金は前期比30円増額の1株あたり140円株を下限に増配
- ステップアップ下限配当の実施と2023年度までに配当性向30%をコミット
今期の増配で9期連続増配が行われる見込みとなっており、積極的な株主還元を行っていることがわかります。
自社株買いにも積極的なので、今後の株主還元にも要注目です。
丸紅
最後は、丸紅(証券コード8002)について見ていきましょう。
丸紅の2023年3月度3Q決算
丸紅の2023年3月度3Q決算は、下記のように発表されています。
純利益を上方修正するなど、好調な決算となりました。
オペレーティング・セグメント別にで見ると、主に
- アグリ事業
- エネルギー
- 食料第一
で増収となっています。
商社株は軒並み好調な決算となっており、丸紅では増配も発表されて投資家からポジティブに捉えられています。
- 現在のPER:5.6%
- 現在のPBR:1.1倍
- 現在の配当利回り:4.4%
- 現在の株価:1,800円近辺
割安感、割高感共に感じられませんが、配当利回りは高い水準にあります。
なお、丸紅は以前から配当利回り4~5%近い水準で推移していることから、今後も安定した配当が期待できるでしょう。
「リストアップしておき、頃合いを見て購入を検討する価値あり」と評価しています。
丸紅の配当還元方針
丸紅は「新たな株主還元方針に関するお知らせ」を発表し、中期経営戦略「GC2024」期間(2023年3月期~2025年3月期)における配当について、2023年3月期より1株当たり年間配当金78円を基点とする累進配当を行うこととしました。
累進配当を導入に伴い、中長期的な利益成長に合わせて増配ができるのはもちろん、中期経営戦略期間中は減配されないこととなります。
また、自己株式の取得に関しても、資本効率の改善及び1株当たりの指標改善等を目的として機動的に実施することとしています。
好調な決算を受けて株主還元も拡充していることから、今後も安心して長期保有できる銘柄と言えるでしょう。
まとめ
今回は、配当利回りが高く個人投資家からの人気がある、
- 三菱商事
- 三井物産
- 住友商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
上記5大商社の2023年3月度3Q決算等を解説してきました。
いずれも決算は好調で、増配を発表する企業もあったため、既に保有しているホルダーにとっては嬉しいニュースだったのではないでしょうか。
商社株は景気敏感株なので、今後のインフレやウクライナ情勢などの動きで業績が大きく影響を受けます。
今後の見通しなどを含めて、ある程度業績が落ちてしまう可能性も織り込みつつ、自身のリスクの範囲ないで投資を行いましょう。
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