今回は、12月本決算の
- JT
- ヒューリック
- JACリクルートメント
- 花王
の最新決算情報や財務データなどを紹介していきます。
結論、上記4社はいずれも好決算でした。とはいえ、今後の事業リスクが全くないというわけではないため、今後の展望も踏まえつつ投資判断を下していきましょう。
JT
まずは、たばこ事業を展開しているJT(証券コード2914)から解説していきます。
JTの2022年12月度最終決算
国内外での紙巻きたばこの値上げや為替の円安も寄与したものの、サプライチェーンのコスト上昇や高温加熱型の加熱式たばこの地理的拡大による投資増加が重荷となっています。
しかし、前期比よりも利益が30%ほど伸びる好決算でした。
また、たばこ事業以外でも医薬品、加工食品も増収となり、配当は前年から増配となる188円になりました。
JTはロシアリスクが大きな懸念ポイントですが、「製品や原材料は2〜3カ月の在庫があり、供給ルートが確保できている。資金決済もできており、制裁措置を順守した上で事業運営を継続している」とコメントしています。
- 現在のPER:13.6倍
- 現在のPBR:1.4倍
- 現在の配当利回り:6.8%
- 現在の株価:2,800円近辺
JTは高配当株として有名ですが、現在も7%近い配当利回りがあります。
2022年度は円安も大きく寄与したものの、今後の為替の動きやロシア・ウクライナ情勢次第では業績に大きな影響が出る可能性があります。
十分に魅力的な配当利回りではありますが、今後の世界情勢や為替の動き次第では減配などがありうる点には注意しましょう。
JTの配当還元方針
JTの配当還元方針は、下記のようになっています。
- 中長期に亘る持続的な利益成長に繋がる事業投資を最優先
- 事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視
- 強固な財務基盤を維持しつつ、中長期の利益成長を実現することにより株主還元の向上を目指す
- 資本市場における競争力ある水準として配当性向75%を目安とする
- 自己株式の取得は当該年度における財務状況及び中期的な資金需要等を踏まえて実施の是非を判断する
配当性向は75%と高く、かなり株主還元に積極的であることがわかります。
JTは参入障壁が高く成熟した企業なので、高い配当性向を実現できている事情があります。
ロシアリスクはあるものの、海外でのM&Aを積極的に推進していることから、海外事業の好不調は要注目です。
ヒューリック
続いて、ヒューリック(証券コード3003)の最新決算情報や配当還元を解説していきます。
ヒューリックの2022年12月度最終決算
ヒューリックの2022年12月度最終決算は、下記のように発表されています。
増配を伴う好決算となっています。
前連結会計年度と当連結会計年度に竣工、取得した物件の不動産賃貸収入が安定的に推移し、販売用不動産の売上が増加したことが収益を押し上げました。
ヒューリックは好立地に賃貸用のテナントを構えており、売上高営業利益率は24.1%と非常に高い水準にあります。
高利回り・好財務の優良企業なので、長期保有に最適です。
- 現在のPER:9.4倍
- 現在のPBR:1.2倍
- 現在の配当利回り:4.3%
- 現在の株価:1,100円近辺
好決算や増配に伴って株価は上昇しましたが、配当利回りは4.3%と高い水準にあります。
「やや割安感」を感じられるため、現在も十分に購入を検討する価値があります。
不動産業は景気に敏感な特徴がありますが、ヒューリックは収益力が高い強みがあるため長期保有に適していると言えるでしょう。
ヒューリックの配当還元方針
ヒューリックは「長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実をはかるとともに、株主への利益還元を狙いとして、安定した配当を継続すること」を基本方針としています。
業績を踏まえた配当還元も行っており、株主還元に積極的です。
また、新中期経営計画も下記のように発表されています。
- 高品質の賃貸ポートフォリオ構築と柔軟な収益構造を維持・強化
- 2025年末までに高耐震化率100%(建替予定物件を除く)を目指す
- 提案力を活かした多様な投資スキームを駆使して物件を取得し、賃貸収入の増強を目指す
- 本格的な人口減少等環境変化に対応した競争優位性のある高品質の賃貸ポートフォリオ構築
- マーケット環境に対応した柔軟な収益構造を維持・強化
収益力を高め、より株主還元を高めることを目指しています。
JACリクルートメント
次は、人材サービス大手のJACリクルートメント(証券コード2124)について解説していきます。
JACリクルートメントの2022年12月度最終決算
JACリクルートメントの2022年12月度最終決算は、下記のように発表されています。
業績は好調で、前年度から5円増配となる発表で投資家からポジティブに捉えられています。
JACリクルートメントのような人材ビジネス業は大規模な設備投資が不要なので、営業利益率が高い強みがあります。
また、2022年は国内企業の事業再成長と人的資本の多様性確保を目指して社員採用に動く企業が多くあったことで、国内人材紹介事業は好調に推移しました。
コンサルタントを増員して転職支援サービスの拡充を図っていることに加えて、近年は転職がスタンダードになっていることも追い風となっています。
2022年度の業績は好調に推移した一方で、不景気になると企業の採用活動が鈍り、業績に悪影響が出る可能性がある点に留意する必要があります。
- 現在のPER:15.5倍
- 現在のPBR:5.9倍
- 現在の配当利回り:3.8倍
- 現在の株価2,300円近辺
若干割高感を感じられる水準です。
株価は上昇トレンドにあり、「今は出しづらい状況」となっています。
今後、配当利回りは4%を超えたら購入を検討する価値がある、と評価しています。
JACリクルートメントの配当還元方針
JACリクルートメントは、利益還元を重要な経営課題に位置付けています。
配当方針に関しては、「将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を実施」することを掲げており、事業成長と株主還元をバランスよく行うことがわかります。
2021年には前年度から減配を行うなど、業績次第では減配がありうる点には注意する必要があるでしょう。
花王
最後に、連続増配企業として有名な花王(証券コード4452)について解説していきます。
花王の2022年12月度最終決算
花王の2022年12月度最終決算は、下記のように発表されています。
営業利益率は悪化したものの、増収増益の好決算となっています。
また、前年度144円から150円の増配が発表され、さすが日本一の連続増配企業という結果となりました。
原材料高の高騰などが営業利益率に悪影響を及ぼしているものの、戦略的値上げを行い影響を吸収できています。
花王は生活必需品を取り扱っていることから、消費者への価格転嫁がしやすい点が大きな強みです。
また、花王の商品は世界各国でも高い評価を得ており、国内外で安定して収益を上げられる強みもあります。
- 現在のPER:21.6倍
- 現在のPBR:2.4倍
- 現在の配当利回り3.0%
- 現在の株価:5,100円近辺
PERやPBRはやや割高となっています。
花王は連続増配企業ではありますが、配当利回りは2~3%台で推移しているので現在の配当利回りは「これまでと同じ」水準です。
33期連続で増配を達成していることから、「3%の利回りがあれば十分魅力的」な銘柄と言えるでしょう。
花王の配当還元方針
花王は連続増配年数日本一を誇る企業で、株主還元に積極的です。
企業活動を通じて得られたキャッシュフローは、下記のように有効活用することを目指しています。
- 将来の発展に向けての投資 (設備・M&A等)
- 安定的・継続的な配当(配当性向40%目標)
- 自己株式の取得
2022年度の増配で連続増配は「33年連続」となり、今後も安定した配当が期待できるでしょう。
まとめ
今回は、
- JT
- ヒューリック
- JACリクルートメント
- 花王
の本決算情報や配当還元などの情報を紹介してきました。
いずれも高配当株として人気がありますが、業種によっては景気敏感で今後減配が起こりうる可能性があります。
しっかりと決算情報を確認しつつ、自身が納得できるタイミングで購入できるように備えることが大切です。
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