8月は、アメリカでジャクソンホール会議が開催されるなど様々な経済トピックスがありました。
日本経済のトピックスや世界経済のトピックスについてまとめましたので、高配当株やインデックス投資をする際の参考にしてください。
本記事を読めば「どのような経済ニュースに注目すれば良いのか」という点も見えてきます。
日本の8月の経済動向・トピックス
日経平均・TOPIXの推移
8月末の日経平均株価の終値は28,091.53円で前月から比較すると93.18円(0.35%)アップしました。
また、8月末のTOPOXは1,963.16ポイントで前月から比較すると3.05ポイント(0.16%)アップしました。
8月末の段階で税引き前の配当利回りが4%を超えている企業数は
・東証プライムが163社
・東証スタンダードが7社
・東証グロースが0社
という結果に終わりました。
世界経済は失速気味ではありますが、日本経済は堅調に推移したと言えるでしょう。
「日本企業の4社に1社は最高益」という状況で、業種ごとに明暗がハッキリと分かれている印象もあります。
とはいえ、原材料費の高騰や需要停滞など、ネガティブな要素も少なくないので、今後の状況は注視する必要があります。
日本経済(GDP)は3四半期連続のプラス成長
4~6月期の日本の実質GDPは、季節調整後前期比+0.5%(年率+2.2%)と持ち直し、3四半期連続のプラス成長となりました。
実質国内総生産の水準は新型コロナウイルスが流行する前である2019年10~12月期を上回ったため、日本経済は回復基調にあると評価できます。
GDPの上昇は国力の上昇を意味するので、日本経済にとって好ましいニュースと言えるでしょう。
しかし、資源高や円安は相変わらずなので、石油や天然ガスなどの輸入コストの増加は今後も続くと考えられます。
輸入コストの増加を販売価格に転嫁できないと労働者の給料アップに繋がらない一方で、販売価格への転嫁が進んで価格が上がると、消費者心理が冷え込んでしまいます。
いずれにしても、資源高や円安による日本経済が乗り切れるかどうかは、今後も注目です。
景気動向指数
景気動向指数とは、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標を基に算出する指数です。
景気全体の現状を知ったり将来の動向を予測したりする際に役立つものです。
8月に発表された6月の景気動向指数は「100.9」となりました。
今年に入ってからの景気動向指数について見てみると、
・1月:101.3(前月比-1.6ポイント)
・2月:100.3(前月比-1.0ポイント)
・3月:100.8(前月比+0.5ポイント)
・4月:102.9(前月比+2.1ポイント)
・5月:101.2(前月比-1.7ポイント)
・6月:100.9(前月比-0.3ポイント)
上記のように推移しています。
日本の景気は良くも悪くもなく、今後の状況はアメリカをはじめとした世界経済から大きな影響を受ける可能性があります。
景気ウォッチャー調査
内閣府が8月に発表した7月の景気ウオッチャー調査を見てみると、前月比9.1ポイント低下して2カ月連続の低下となりました。
景気ウォッチャー調査とは、「街角調査」とも呼ばれており、地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の回答を基に作成するものです。
好不況の分かれ目は「50」なので、最新の調査結果を踏まえると「街角の人はそこまで景気が良いと感じていない」ことになります。
なお、50を下回ったのは4カ月ぶりで、実際に内閣府は現状の景気の基調判断を前月の「緩やかに持ち直している」から「持ち直しに足踏みがみられる」に下方修正しました。
さらに、2~3カ月後の先行き判断指数も42.8で4.8ポイント下落したことから、物価上昇などの影響が街角に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
政府の月例報告
政府は8月の月例経済報告で、今後の先行きについては「海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク」と指摘しました。
つまり、年率約8%という急激なインフレが続いているアメリカの景気状況から、日本も大きな影響を受けるであろう見通しを示しています。
なお、アメリカのGDPが2四半期連続マイナス成長となった影響や、イギリスやドイツもマイナス成長になった影響もあり、世界景気の判断は「持ち直しのテンポが鈍化している」と3カ月ぶりに下方修正しました。
日本の8月の経済景況まとめ
「GDPが3四半期連続のプラス成長」というポジティブなニュースがありましたが、今後の景況感に関しては警戒感を持った方が良いでしょう。
1ドル140円台の円安や資源高など、今後の不安要素は多くあるためです。
日本の高配当株に関しては、「様子見」「狙っていた株が割安になったら購入を検討」が無難なポジションと言えます。
なお、詳しくは後述しますが、アメリカをはじめとした世界経済の失速が懸念されているので、世界に幅広く分散投資できるインデックス投資に関してはうまみが増す可能性があります。
米国の株式は円安が続く限り購入しづらい状況が続いています。
国内銘柄に関しても米国経済の影響を受けるため大きく買いに行ける状況ではありません。
今は個人的にはキャッシュポジションを高める時期かなと思っています。
海外の経済動向・トピックス
アメリカの経済指標の推移
8月末のS&P500指数は3,955.00ポイントで、前月比-163.63(-3.97%)という結果でした。
また、NYダウの8月末の終値は31,510.43ドルで、前月比-1.287.97ドル(-3.93%)という結果に終わり、8月は軟調な相場でした。
アメリカはインフレが未だに継続しており、来月に開催されるFOMCの内容次第では景気がさらに冷え込む懸念があります。
詳しくは後述しますが、ジャクソンホール会議においてパウエル議長は「利上げを継続する」意向を明らかにしました。
つまり、次回のFOMCにおいても利上げペースを維持する、もしくは早めると考えられています。
利上げの影響は株式に大きく影響しそうです。
アメリカ景況感は悪化
S&Pグローバルが発表によると、アメリカの7月の住宅着工件数は144万6000戸で、前月比9.6%減となりました。
住宅着工件数は景気の先行指標で、住宅市場の冷え込みは景気の後退の前兆と捉えることもできます。
また、同じくS&Pグローバルが発表した8月の米国の購買担当者景気指数(PMI)は45.0で、前月から2.7ポイント低下しました。
好不況の分かれ目である「50」を2カ月連続で下回り、また2年3カ月ぶりの低水準であることから、アメリカの景況感はかなり暗いと言えます。
大きな原因となっているのは急激に進んでいるインフレで、インフレに伴って消費者心理が冷え込んで需要の減退、企業採算の悪化が起こっています。
ジャクソンホール会議
ジャクソンホール会議とは、
主要国の中央銀行トップや経済学者などが集まって今後の金融政策のについて議論する会議です。
8月に行われたジャクソンホール会議において、FRBのパウエル議長はインフレ抑制について「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べました。
また、「物価の安定を回復させるには金融引き締め策を一定期間維持することが必要となる可能性が高い」とも述べています。
この講演を受けて、NYダウは1000ドルを超える下げ幅を記録し、29日の日本の日経平均株価の終値が700円を超える大幅安となりました。
次回のFOMCは9月下旬に行われる予定ですが、そこでのパウエル議長の発言は要注目です。
ちなみに、この会議において日本(日銀)は「まだまだ金融緩和を続ける(つまり、利上げはしない)」と述べているので、今後日米の金利差はますます開いていくでしょう。
アメリカの利上げ長期化に対して日本は利上げをしない方針を発表しており、その解離で円安は加速しています。
世界経済の4~6月はマイナス成長
8月の日本経済は堅調に推移しましたが、4~6月期の世界経済は新型コロナウイルス禍当初以来のマイナス成長となりました。
ウクライナ情勢や資源高などの影響もあって先行きも不透明感が増しており、9月以降も経済が停滞してしまう恐れがあります。
さらに、FRBや欧州中央銀行(ECB)はインフレを抑制するために利上げを続ける方針を表明しているので、世界的な景気後退リスクが高まっていると言えるでしょう。
先述したように、4~6月期の日本はGDPが前期比年率2.2%となりましたが、世界経済が停滞して外需が低迷してしまうと、景気回復が遅れてしまうリスクがあります。
そのため、日本の高配当株にも影響が出ることから、日本経済だけでなく世界経済にも注意を払う必要があります。
世界8月の経済景況まとめ
世界経済は停滞しており、今後も停滞が長引いてしまう可能性が示唆されています。
ウクライナ情勢は予断を許さない状況で、物価上昇圧力も強まっていることから、アメリカ経済や世界経済は景気後退に陥る恐れも十分に考えられるでしょう。
そのため、米国高配当株は日本株と同じく「様子見」「割安感があれば購入を検討」というポジションが無難なところです。
インデックス投資に関しては、これから株価が下落する局面があれば好条件で買い付けることができるので、景気に関係なく愚直に積み立てていきましょう。
まとめ
8月の日本経済と世界経済のトピックスについてお伝えしてきました。
今後のアメリカをはじめとした世界経済の停滞には要注意ですが、インデックス投資はコツコツと継続しつつ、高配当株は様子を見ると良いでしょう。
また、9月には重要イベントであるFOMCが開催されるので、パウエル議長の発言や今後の利上げペースなどについても注目する必要があります。
今後も重要な経済ニュースに目を通し、着実に資産形成を進めていきましょう!
ではまた
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