日本を代表する高配当商社の中間決算と業績推移を解説

三菱商事と住友商事は、ともに日本を代表するグローバルな総合商社で、投資先としても人気があります。

安定して配当を出しており、株主還元にも積極的なので、高配当株を探している方にもおすすめできる優良企業です。今回は、三菱商事と住友商事の財務データや中間決算などの情報をお伝えしていきます。

目次

三菱商事の事業内容

三菱商事(証券コード8058)は、日本を代表する総合商社です。

下記のように様々な事業を行っており、国内外で安定して収益を上げるビジネスモデルを構築しています。

・産業DX部門(デジタル事業部、インダストリーDX部、電力・地域コミュニティDX部、サービスDX部)

・EXタスクフォース

・天然ガスグループ(アジア・パシフィック本部、北米本部、LNG開発・販売本部)

・総合素材グループ(建設資材事業部、窯業原料事業部、機能材本部、鉄鋼製品本部)

・石油・化学ソリューショングループ(次世代燃料・石油事業本部、環境素材・化学事業本部、グローバルマーケティング本部)

・金属資源グループ(金属資源本部、金属資源トレーディング本部)

・産業インフラグループ(プラントエンジニアリング本部、産業機械本部、船舶・宇宙航空機本部)

・自動車・モビリティグループ(自動車事業本部、いすゞ事業本部、モビリティ事業本部)

・食品産業グループ(畜産酪農部、食品化学本部、食糧本部、農水産本部、グローバル食品本部)

・コンシューマー産業グループ(タイヤ部、リテイル本部、アパレル・S.P.A.本部、ヘルスケア本部、食品流通・物流本部)

・電力ソリューショングループ(海外電力本部、エネルギーサービス本部、ユーティリティーリテイル本部)

・複合都市開発グループ(都市インフラ本部、都市開発本部、アセットファイナンス本部)

中でも、産業DX部門は「中期経営戦略2024」における成長戦略の柱の一つとなっています。

「幅広い産業知見とDX機能を活かし、産業・企業・コミュニティをつなぎ、リアルとデジタルの融合による社会課題の解決を通じて、産業全体の発展と地域色豊かな未来社会を実現する」ことを目標にしています。

三菱商事の2022年9月期の中間決算

三菱商事の2022年9月期の中間決算は、下記のように発表されています。

・連結収益は10兆7218億円で前期比38.76%増
・親会社の所有者に帰属する当期利益の通期予想を1兆300億円と見込み、中間までの進捗率は69.9%

また、中間配当を当初の予想である「75円」から「77円」に増額し、円安による押し上げもあり、「好調な決算」であることが分かります。

三菱商事は総合商社として初めて純利益が1兆円を超えることもニュースになりましたが、資源価格・エネルギー高・円安が大きく影響しています。

そのため、今後のウクライナ情勢や為替の動向次第で、また大きな影響を受ける点は留意しましょう。

三菱商事の財務データ

出展:バフェットコード

自己資本比率は30%代前半とそこまで高くはありませんが、配当利回りは3.6%とそこそこ高い水準です。

サハリン2に関連したネガティブなニュースがある上に、今後の世界経済の失速に伴って株価が下落する要素はいくつかあります。

しかし、総資産は着々と増えており、配当性向も20%台と全く無理のない水準なので、安心して保有できる優良企業です。

PERは5.8倍、PBRは0.8倍というバリュー株で、今後割安感が強まったら購入のタイミングと言えるでしょう。

ROEは約12%と効率よく利益を稼いでいることから、今後も減配や無配のリスクは低いと言えるでしょう。

三菱商事の売り上げ・利益の推移

出展:バフェットコード
出展:バフェットコード

三菱商事の売り上げ・利益の推移が、ここ数年は振れているものの長期的に見ると右肩上がりです。

三菱商事をはじめとする商社は景気敏感株なので、今後も売り上げや利益に大きなばらつきが出ることが予測できます。

しかし、三菱商事は減配した年もあるものの、長期的に見ると配当推移も右肩上がりなので、安心して保有できる優良企業と言えるでしょう。

三菱商事のキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは毎年プラスになっており、投資活動によるキャッシュフローを見ると分かるように、順調に事業拡大に回されていることが分かります。

実勢に、設備投資を見ると毎年マイナスになっていることから、今後も売上高が伸びる可能性は大いにあります。

さらに、2015年以降は毎年フリーキャッシュフローがプラスになっているので、財務安定企業と判断できます。

三菱商事の株価推移

三菱商事のここ5年の株価は、下記のように推移しています。

2020年の中頃から上昇していますが、これは好調な業績はもちろんですが、「ウォーレン・バフェットが購入した」というニュースも大きく影響しています。

株価の上昇に伴って配当利回りは下がってしまうため、高配当株投資科にとっては「いつ三菱商事の株を購入するか」、タイミングを計るのが難しいところです。

もし世界経済の減速に伴って連れ安になるなど、「配当利回りが4%を超えたら購入を検討する」というスタンスでいようと思います。

三菱商事の中期経営計画

出展:https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/plan/

三菱商事は、中期経営計画として「あらゆる産業知見とグローバルネットワークを駆使したインテリジェンスを有機的に繋げ、繋がることで企業の総合力向上を目指しています。

定量目標としては、「収益基盤の維持・拡大と共に、Energy Transformation(EX)関連やDigital Transformation(DX)関連・成長分野への投資等を通じて、価格要因を除いた利益の着実な成長とROE二桁水準の維持・向上」を目指すとしています。

また、株主還元に関しては「持続的な利益成長に応じて増配を行う累進配当」を基本方針とし、「財務健全性、配当の安定成長、株主還元に対する市場期待の3つのバランス」を意識した還元政策を実施す方針を掲げています。

つまり、安定した利益を目指しつつ、株主還元を積極的に行う方針です。

株主還元の姿勢も強いことから、姿勢の面からも長期間にわたって保有できる銘柄と判断できます。

住友商事の事業内容

住友商事(証券コード8053)も日本を代表する総合商社で、下記のように様々な方面で事業を展開しています。

・金属
・輸送機
・建機
・インフラ
・メディア・デジタル
・生活・不動産
・資源・化学品
・エネルギー、イノベーション

グローバルに展開している店も住友商事の特徴で、展開国・地域数は66ヶ国、事業所数は131カ所、クライアントは100,000社にも及びます。

内訳を見ると、

・東アジア:17カ所
・アジア大洋州:26カ所
・欧州・CIS:20カ所
・中東・アフリカ:24カ所
・米州:24カ所

上記のようになっています。

また、住友商事はサステナビリティやESGにも力を入れており、「社会とともに持続的に成長する」ことを目指しています。

広く社会に貢献するグローバルな企業グループを目指すことをアピールしているため、ESG投資家にとっても魅力的な投資先と言えるでしょう。

住友商事の2023年3月期第2四半期決算

住友商事の2023年3月期第2四半期は、下記のように発表されています。

・2022年9月期における中間の連結収益は3兆3543億円で前期比31.9%増
・親会社の所有者に帰属する当期利益は45.29%増の3502億1300万円で着地
・親会社の所有者に帰属する当期利益の通期予想を5500億円と見込み、中間までの進捗率は63.68%
・当初の中間配当「45円」から「57円50銭」の変更

上記のように、かなり好調な中間決算となりました。

三菱商事と同様に、商社株は景気敏感株なので、今後の世界経済に関するニュースは要注目です。

住友商事の財務データ

出展:バフェットコード

住友商事の自己資本比率は30%台前半となっており、商社株の中では一般的な水準です。

ROEは安定して10%を超えた水準を叩き出しているので、効率よく稼いでいる魅力的な企業と判断できます。

また、PERは6.2倍・PBRは0.7倍と、かなり割安感を感じられるバリュー株です。

配当利回りも5.3%と高く、配当性向も20~30%台と無理のないレベルなので、減配や無配のリスクは低いと言えます。

2021年に10円の減配が行われましたが、長期的に見れば配当金の右肩上がりで推移しているので、長期保有に適した高配当株です。

住友商事の売り上げ・利益の推移

出展:バフェットコード
出展:バフェットコード

EPSは振れ幅が大きいものの、売上高と純利益は長期的に右肩上がりです。特に、2023年3月は最高益となる見込みなので、業績は好調と言えるでしょう。

住友商事のキャッシュフロー

2010年以降、営業活動によるキャッシュフローは毎年プラスになっており、事業拡大の投資に回されていることが分かります。

また、財務活動のキャッシュフローを見ると分かるように、借入金の返済も順調に行っているため、キャッシュフローを見ても安心して保有できる企業と言えます。

2016年はフリーキャッシュフローもプラスで、現金等も7,000億円以上あることから、不況にも強いキャッシュリッチ企業です。

住友商事の株価推移

基本的に、商社のような景気敏感株は振れ幅が大きい上下動を繰り返しますが、2022年11月現在は上昇トレンドにあります。

過去のチャートを見ても、「今購入すると高値づかみになるかも」と感じてしまいますが、現在の配当利回りは5%を超えているので、かなり魅力的です。

「これから下落するか分からないし、配当利回り5%あれば買ってしまおう」と判断するのも良いでしょうし、今後の下落を予測するのであればさらに配当利回りが上昇するタイミングを狙うのもアリです。

住友商事の中期経営計画

出展:https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/policy/mid-term

住友商事の中期経営計画の中では、アフターコロナの企業活動として

・低採算事業に対する見極め、バリューアップ施策の加速
・危機対応モードの下、全社キャッシュ・フロー、コスト管理の厳格化
・事業ポートフォリオの再構築を軸とする構造改革
・事業ポートフォリオの再構築

を挙げています。

また、事業ポートフォリオのシフトとして、DXをはじめとした次世代戦略テーマの強化と育成を掲げています。

株主還元に関しては、「長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額増加」を目指し、「20年度の年間配当金と同額の1株当たり70円以上を維持した上で、連結配当性向30%程度を目安」に還元する方針です。

つまり、中期経営計画においても財務状況を鑑みつつ株主還元を積極的に行うことを掲げているので、長期保有の高配当株に向いていると判断できます。

三菱商事と住友商事の半期決算まとめ

商社株は軒並み好決算となっていますが、中でも三菱商事と住友商事は好決算でした、

進捗率は60%を超えており、三菱商事に関しては商社初の純利益1兆円を超える見込みなので、「商社株を保有していたおかげでポートフォリオが大きくプラスになった」という人も多いでしょう。

また、三菱商事も住友商事も株主還元に積極的な姿勢を打ち出しているので、長期的に保有する高配当株に向いています。

いずれも魅力的な企業なので、ポートフォリオへの追加を検討してみてください。

いかがでしたでしょうか。
どちらも、個人的にはどちらも悪くない銘柄かなと思いますし、現在の株価であれば
そこまで割高ではないように思います。
しかし、全力で銘柄を購入するタイミングは全体が下がっている時なので、購入するタイミングに関しては慎重に!

PERやEPSなどの解説はこちら→https://kohaitouburogu.com/high-dividend-stock/#index_id5
で解説してあります。

決算書の解説も記事出しています。→https://kohaitouburogu.com/kessannsyo/

基本的にはPER/PBR/自己資本比率/配当性向/配当利回り/EPS/BPS/ROE/減配がないか
をチェックしてから業種やチャートを見るようにしてます。
中小型株も同様です。

ではまた

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次