12月の国内外の経済トピックス

12月は、国内外の株式市場が総じて不調に終わってしまいました。

日本国内では、日銀の事実上の利上げが行われ、アメリカではFOMCの開催、中国ではゼロコロナ政策からの緩和修正など大きな出来事が起こりました。

リスク要因は多くあるため、身の丈を超えた投資をしないように注意することが重要です。

今回は、12月の国内外の経済トピックスを紹介していきます。

日本やアメリカの個別株投資やインデックス投資に深く関連するニュースを集めたので、参考にしてみてください。

目次

日本の11月の経済動向・トピックス

まずは、日本の1月の経済動向やトピックスについて見ていきましょう。

日経平均・TOPIXの推移

12月末の日経平均株価の終値は26,094.50円で前月末から1,683.40円(-6.06%)のマイナスとなり、12月末のTOPIXは1,891.71ポイントで前月末から62.27ポイント(-3.19%)のマイナスとなりました。

日銀がこれまでの金融緩和を一部引き締める「事実上の利上げ」を行ったことが、大きな株価のマイナス要因となっています。

金利が動くと、株式や為替にも大きな影響を与えることから、今後の日銀のスタンスや発言には要注意です。

なお、日経平均株価の年初来成績は-10.95%、TOPIXは年初来-6.82%で終わり、2022年の株式相場は「不調に終わった」と言えるでしょう。

なお、10月末の段階で税引き前の配当利回りが4%を超えている企業数は

東証プライムが322社
東証スタンダードが201社
東証グロースが4社

という結果に終わりました。

株価が下落すると配当利回りは高まるため、「前月末よりも高配当株は増加している」という状態です。

今後のインフレ率次第では、日銀は更に「事実上の利上げ」を行う可能性があることから、もし現実になると「円高・株安」が続く可能性が見込まれます。

そのため、高配当株投資家にとっては、「利上げ局面においても安定して収益を上げられる優良株」を割安で購入できるチャンスがあると言えるでしょう。

景気動向指数について

内閣府が発表した12月22日に発表した10月の景気動向指数は、98.6ポイントで前月比微増となっています。

景気動向指数とは、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標を基に算出する指数で、景気全体の現状を知り将来の動向を予測する際に役立つものです。

なお、内閣府は景気の基調判断を「改善を示している」のまま据え置き、9カ月連続で同じ判断となりました。

  • 1月:101.3(前月比-1.6ポイント)
  • 2月:100.2(前月比-1.1ポイント)
  • 3月:100.7(前月比+0.5ポイント)
  • 4月:102.3(前月比+1.6ポイント)
  • 5月:100.7(前月比-1.6ポイント)
  • 6月:100.3(前月比-0.4ポイント)
  • 7月:98.9(前月比-1.4ポイント)
  • 8月:101.3(前月比+2.4ポイント)
  • 9月:98.2(前月比-3.4ポイント)
  • 10月:98.6(前月比+0.4ポイント)

前月よりプラスとなっているものの、全体的に見ると景気は下落トレンドと言えるでしょう。

また、日本経済研究センターが12月8日発表した10月の景気後退確率は「35.3%」で、景気後退の警戒水準である67%を下回っています。

今回、景気動向指数の先行指数が改善したことに伴い、景気後退確率も改善する結果に繋がりました。

とはいえ、日本国内では3%を超えるインフレ(前年同月比3.7%)が起きており、今後の世界景気の減速懸念や日銀の動向次第で、景気後退確率が高まる可能性も否定できません。

景気ウォッチャー調査

景気ウォッチャー調査とは、「街角調査」とも呼ばれており、地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の回答を基に作成するものです。

街角の人たちは、「好景気ではない」と感じており、インフレや円安が大きく影響していることが見て取れます。

好不況の分かれ目は「50」なので、まだまだ好景気に至るまでの道のりは長いと言えるでしょう。

全国旅行支援や入国制限の緩和などの影響で、個人消費が回復している面もありますが、

  • 生活防衛意識が強まり、必要最小限の買い物に抑える客が多くなっている
  • 仕入れ値が上がり、利益に響く

というコメントも見られることから、インフレが続けば個人消費の落ち込みによる経済への影響が懸念されます。

政府の10月の月例報告

政府は、12月にまとめた11月の月例経済報告において国内の景気判断を「緩やかに持ち直している」として、6ヶ月連続で同じ判断をしました。

企業の業況判断が上向き、さらに全国旅行支援などの施策から個人旅行が増えるなど個人消費が持ち直す一方で、

  • 中国のコロナの感染状況の動向
  • 原材料価格の高騰

に注意する必要があるとコメントしています。

なお、世界景気は「緩やかな持ち直しが続いている」という判断を維持しているものの、今後の世界経済に関する報道も注意する必要があるでしょう。

有効求人倍率・失業率について

厚生労働省が発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍で、前月と同じ数値となりました。

全国旅行支援や年末年始の観光客の増加を見込んだことから、宿泊・飲食サービス業が前年同月比21.2%増と大きく伸びました。

有効求人倍率は回復傾向にあるため、日本の雇用状況に関しては「わりと好調」と評価できます。

なお、完全失業率は2.5%で前月から0.1ポイント改善しました。

日銀の金融緩和修正

12月に起きた大きなニュースに、「日銀による金融緩和の縮小」が挙げられます。

日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合を開き、「従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する」ことを決定しました。

日銀は「利上げした」という事実を否定していますが、これは「事実上の利上げ」であり、株式市場にとってマイナスに作用します。

実際に、日銀の発表を受けて

  • 為替相場が1ドル137円から1ドル133円に円高シフト
  • 日経平均先物が一時900円安になる

という事態が起こりました。

日銀がこのような判断を下した大きな要因は「インフレが想像以上に進んでしまったこと」です。

金利が上がることで景気を冷え込ませ、インフレを退治したいと考えていることで、今般の「事実上の利上げ」という結果となりました。

そのため、もし今後も

  • インフレが高止まりする
  • 金融緩和の縮小が続く

という状況になれば、日本の株式市場にとって大きな逆風になると考えられます。

そのため、今後の日銀の決定会合に関するニュースには特に注目する必要があると言えるでしょう。

日本の12月の経済景況まとめ

12月の日本の株式市場は不調に終わったものの、株価が下がれば配当利回りは上昇するため、高配当株投資家にとっては「貯めたキャッシュを使うタイミング」になる可能性があります。

また、日銀の緩和修正による円高・株安が起こる可能性もあるため、今後の日銀の決定会合や経済指標の発表には要注目です。

インデックス運用に関してはそのまま継続し、個別株や高配当株投資を行う際には、企業の財務状況や割安感を総合的に判断して購入することが大切となりそうです。

海外の経済動向・トピックス

続いて、海外の経済動向やトピックスについて見ていきましょう。

アメリカの経済指標の推移

12月末のS&P500指数は3,839.50ポイントで、前月比232.20(-5.70%)ポイントのマイナスという結果でした。

また、NYダウの12月末の終値は33,147.25ドルで、前月比1,282.63ドル(-3.73%)のマイナスという結果に終わりました。

12月に行われたFOMCにおいて0.5%の利上げが発表されたことで、アメリカの政策金利は4.25~4.5%となっています。

以前までの利上げ幅は0.75%だったので、利上げ幅は縮小したものの、今後の利上げペースは「アメリカ国内のインフレ次第」です。

アメリカ国内では「すでにインフレはピークアウトしている」という見方もあることから、今後のアメリカ株式市場についてポジティブに捉えている投資家も少なくありません。

しかし、FRBとしては時期尚早な利下げに関しては否定的な見解を示していることから、1月に行われるFOMCには要注目です。

12月のアメリカ製造業景況感は2年7カ月ぶり低水準

2022年12月の米製造業景況感指数は、前月から0.6ポイント低い48.4と発表されました。

2020年5月以来、2年7カ月ぶりの低水準と報じられており、製造業界における新規受注の低迷は大きなネガティブトレンドとなっています。

イギリスのキャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミストであるポール・アシュワース氏は「景気後退期かその直前にしか見られない低水準」とコメントし、アメリカ国内の景気減速を懸念しています。

以前から懸念されている「アメリカ国内の景気減速」「世界経済の景気減速」のリスクは相変わらずなので、2023年においてもリスク要因は多いです。

アメリカの経済指標は全世界に大きな影響を与えることから、消費者物価指数をはじめとした経済指標にも着目する必要があります。

今後アメリカの株式市場の不調が続けば、「優良企業(優良ETF)を割安で購入できるチャンス」となるため、今のうちにキャッシュを貯めておくことをおすすめします。

中国ゼロコロナ政策修正

12月6日、中国は以前まで続けていたゼロコロナ政策を転換し、緩和の方針に舵を切りました。

ゼロコロナ政策は国民の不満を高めるだけでなく、成長率鈍化など中国の経済にも大きな悪影響を及ぼしていたため、妥当な判断と言えます。

しかし、ゼロコロナ政策が修正されたことで中国内において感染者が急増し、また新たな問題に直面している状況です。

今後ますますコロナの感染爆発が進むと、

  • ロックダウン
  • ゼロコロナ政策再び

となり、経済が停滞してしまう状況になりかねません。

中国の経済が回り好転すると、

  • サプライチェーンが正常化する
  • 原油の需要が高まり原油高が進む

など、株式市場にとってポジティブな影響が予測できるため、中国に関するニュースも日本や世界景気に影響している点は押さえておきましょう。

世界の11月の経済景況まとめ

アメリカのFOMCでは0.5%の利上げが行われ、中国ではゼロコロナ政策からの転換が行われるなど、大きなトピックや出来事が多くありました。

アメリカの利上げペースに関しては、今後のインフレ率が大きく影響するため、消費者物価指数などの経済指標に注目する必要があります。

また、中国のゼロコロナ政策緩和に関しては、どのように転んでも世界経済全体に影響するため、こちらも要注目です。

ウクライナ情勢をはじめ、世界の各地には様々なリスク要因がある上に、多くの識者が「世界経済の失速」を懸念しています。

日本と同様に、全世界や全米のインデックスファンドの購入は継続しつつ、個別株やETFに関しては割安なタイミングを見計らって購入するスタンスが無難といえるでしょう。

12月の経済トピックスまとめ

12月の日本と世界の経済トピックスについて解説してきました。

12月の日本とアメリカの株式市場は、共に下落して軟調に推移する結果となりました。

今後も景気の減速につながるリスク要因は多く、多くの識者も世界経済の減速を懸念していることから、個別株投資・高配当株投資をする際には注意が必要です。

もし株式相場の不調が長引くようであれば、「優良企業の株を割安で購入できるチャンスが続く」ことを意味するため、チャンスと捉えることもできます。

2023年の株式相場に関しても、様々な経済指標や国際情勢に関するニュースをチェックして、リスクの範囲内で投資を行うことを意識しましょう。

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